月と陽 月の気持ち

月と陽の10年目の別れに至るまで 

【過去】もう会いたくない

【過去の話】


陽の出張の日がきた
お互い、仕事だったから 夜に待ち合わせた


待ち合わせの場所に車で向かって行く途中


『がんばれ、わたし』 と
また言い聞かせた・・・


待ち合わせの場所に陽は先に着いていて
私は、まともに陽の顔を見れなかった


3か月振りに会った時、陽の第一声が
月は、やっぱり可愛いなだった


でも、そう言うんじゃないかなと思っていた


陽にとって
私は見た目がタイプで・・・
見た目だけがタイプなのかもしれない・・・
そんなことを思っていた



もう時間も遅く、彼の宿泊先に行くことになった


そのまま、なんで会いに来たのかも
陽も言わず、私も聞けず


くっついて寝た



翌朝、早朝4時とかに目が覚めて


何だかすごく苦しくなって、
早朝にも関わらず、陽を起こして


帰る


とだけ言った


陽は何も言わなかった


私は部屋を出て、駐車場へ急いだ



帰りの車の中で、涙がこみあげてきて
運転ができなくなった



道路わきに停めて
陽に電話した


なんで会いにきたの?
なんで何も言わないの?
なんで連絡してきたの?


会いたかったから


よりを戻したいってこと?


わからない・・・
ただ、会いたかった



陽のその言葉で、抑えていた感情が
込み上げてきた



私が、どういう気持ちで
会いにきたか・・・考えないの?


ごめん・・・



また、何も言えなくなってしまった
気まずいまま電話を切った



もう会いたくない、そう思った




【過去】別れて3か月で連絡

【過去の話】


空港から帰った私は、陽が家に到着する頃に
陽に電話をかけた


仕事に集中したくて、恋愛どころじゃない
本当にごめんね


と話してくれた


お仕事、頑張ってね
遠くから応援してるね



それだけ話して電話を切った
別れが現実になった



それからの私は
どうやって生活していたのか
あまり記憶にない


ある駅名の彼の苗字
それを見るたびに涙が止まらなくなって
電車に乗れなくなってしまった
仕事も行けなくなった


げっそり痩せてしまった私は
退職することにした


電車通勤しなくても通える場所で
仕事を探して、就職した



やっと仕事にも行き始めた
別れてから3か月過ぎたころ
陽から連絡があった



出張でそっちに行くんだけど
会いませんか?



嬉しいような、怖いような
複雑な気持ちだった


どういう気持ちで連絡してきたのか
私がどういう気持ちで過ごしていたのか
考えないのかな・・・?



聞きたい事
言いたい事
あったはずなのに
何も言えなかった



だけど、私も会いたかった



複雑な気持ちだけど
会うことにした


ほんのわずかな期待もあったんだ



【過去】何も話さずお別れ

【過去の話】


突然の事で心がついていかなかった


その当時の会社での飲み会の写真が残っていて
今見ると、笑って写っているのだけど
ゲッソリ痩せた私がいた



約束の日がきて、陽が私の荷物を持って会いに来た
私は空港まで陽を迎えに行った


早めに空港に着いて、トイレに行き
『がんばれ、わたし』
と自分に言い聞かせた


飛行機が到着して陽が出てきた


何とも言えない切ない淋しそうな顔で笑う陽を見て
私も何とも言えない顔で笑った


そのまま車を走らせて
今度、行こうね!と話していたイタリアンのお店に入った


不思議と別れ話はどちらからもせず、ただただ普通に
美味しいね!って言い合いながら食べた


その日は泊まる予定だったので、ホテルへ移動し
二人くっついて寝た


翌朝もいつまでも離れたくなく、
いつまでもくっついていたけど
時間になり、ホテルを出た


その日、帰る予定だった陽のために空港方面へ車を走らせた


お互い何も話さず、だけど離れることも出来ず・・・
ただ、ドライブをして時間を過ごした


1泊で帰る予定だった陽だったけど、


もう1泊していこうかな 陽は言った



その日も離れたくなくて
くっついて寝た



翌朝、空港まで陽を送った



結局、電話でした別れ話以降は
電話でもその話はしなかったし


2泊しても 陽も私もその話は一切しなかった
ただ、ただ 離れたくなくて くっついていた


だけど、今 思うのは
話をするのが怖かったから、何も言えなかったんだな…私



空港へ着いて
搭乗口で見送った



ぎゅっと繋いでいた手を
さらにぎゅっと力をこめた



陽は泣いていた・・・


私も涙が止まらなかった



月、元気でね



そう一言だけ陽は言った


私はうなづくしかできなかった



二人とも涙でぐちゃぐちゃの顔で
別れ際、陽は私にキスをして
手を離して・・・


陽はぐちゃぐちゃの顔のままゲートを通って行った


私は何も言えず一人駐車場に戻り泣いた


そこからどうやって帰ったのか
全く記憶にない