月と陽 月の気持ち

月と陽の10年目の別れに至るまで 

【過去】何も話さずお別れ

【過去の話】


突然の事で心がついていかなかった


その当時の会社での飲み会の写真が残っていて
今見ると、笑って写っているのだけど
ゲッソリ痩せた私がいた



約束の日がきて、陽が私の荷物を持って会いに来た
私は空港まで陽を迎えに行った


早めに空港に着いて、トイレに行き
『がんばれ、わたし』
と自分に言い聞かせた


飛行機が到着して陽が出てきた


何とも言えない切ない淋しそうな顔で笑う陽を見て
私も何とも言えない顔で笑った


そのまま車を走らせて
今度、行こうね!と話していたイタリアンのお店に入った


不思議と別れ話はどちらからもせず、ただただ普通に
美味しいね!って言い合いながら食べた


その日は泊まる予定だったので、ホテルへ移動し
二人くっついて寝た


翌朝もいつまでも離れたくなく、
いつまでもくっついていたけど
時間になり、ホテルを出た


その日、帰る予定だった陽のために空港方面へ車を走らせた


お互い何も話さず、だけど離れることも出来ず・・・
ただ、ドライブをして時間を過ごした


1泊で帰る予定だった陽だったけど、


もう1泊していこうかな 陽は言った



その日も離れたくなくて
くっついて寝た



翌朝、空港まで陽を送った



結局、電話でした別れ話以降は
電話でもその話はしなかったし


2泊しても 陽も私もその話は一切しなかった
ただ、ただ 離れたくなくて くっついていた


だけど、今 思うのは
話をするのが怖かったから、何も言えなかったんだな…私



空港へ着いて
搭乗口で見送った



ぎゅっと繋いでいた手を
さらにぎゅっと力をこめた



陽は泣いていた・・・


私も涙が止まらなかった



月、元気でね



そう一言だけ陽は言った


私はうなづくしかできなかった



二人とも涙でぐちゃぐちゃの顔で
別れ際、陽は私にキスをして
手を離して・・・


陽はぐちゃぐちゃの顔のままゲートを通って行った


私は何も言えず一人駐車場に戻り泣いた


そこからどうやって帰ったのか
全く記憶にない